2009年10月28日

スピッツのちいさな冒険【Spitz the Wandering Dog】

ぼくの名はスピッツ。
あたまがよくって、なんだって知ってる。

どの木にリスの巣があるのか、
なぜウサギは夜になって庭にでてるのかも。

ぼくは世界をぜんぶ知ってる。
ぼくの世界は大きな鉄のフェンスで囲まれてるけど。

ある朝、パン屋の配達がゲートを開いたまま帰ってしまったんだ。
ぼくは外へ出た、だってかしこいからね。

道路は車だらけ、
歩道は足早に歩くひと、ひと、ひと。
みみざわりな音ばかりはごめんだよ。
もっとほかの場所はないのかな。

知らない街をさまよううちに
おなかぺこぺこ、からだはくたくた。

なってこった、ぼく迷っちゃったんだ。

spitz_1.jpg


spitz_2.jpg


spitz_3.jpg


作:Marianne Richter
出版社:Children Press,Inc 1966

ページをめくるたびにため息。
なんて絵の達者な人なんだろう。

大胆な筆使いで描かれたスピッツやほかの犬も
すんばらしいのだが、
それ以上に街の描写が白眉。
少ない色数が構図の巧みさをよりひきたたてるなぁ。

夕景の雑踏の中、
こころぼそさでつぶれそうな気持ちのスピッツの姿なんて
胸にぐっと迫るものがある。

パン屋の配達の子に出会えてよかったね、スピッツ。
身の丈にあった暮らしがいちばん。


posted by おふみ at 11:27| 神奈川 雨| Comment(0) | 絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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